海外FXと国内FXは、課税方式や税率に違いがあります。
国内FXと違い、海外FX会社は利益が大きければ大きいほど税額がアップしていく税率になっているんですね。
ですので、国内FXですでに取引をしている方や、これからXMで取引をしようという方は、違いを理解しておいたほうがよいでしょう。
- 海外FXはいくら稼ぐと、どれくらい税金がかかる?
- 税率が違うと海外FXは損になってしまうのか?
- 海外FXの税金の計算方法は?
など、様々な疑問点がでてきます。
そういった疑問も踏まえて、こちらのページでは海外FXと国内FXの税金の違いについて詳しく解説していますのでぜひご参考ください。
海外FXと国内FXの税金が違う点
海外FXと国内FXの税金は、下記の表の通り
- 課税方式
- 税率
- 損失繰越の可否
の3つの点が違ってきます。
海外FXの所得 | 国内FXの所得 | |
所得の区分 | 雑所得 | 雑所得 |
課税方式 | 総合課税 | 分離課税 |
税率 | 累進税率(5~45%) | 一律税率(20.315%) |
損失の繰越 | 不可 | 3年間可能 |
一つづつみていきましょう。
所得の区分とは
- 海外FXでの所得、国内FXでの所得、どちらも雑所得
所得の区分とは、課税される所得の区分訳のことで
- 事業所得
- 不動産所得
- 給与所得
- 利子所得
- 配当所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
に分かれています。
FX取引を事業として行っている人を除いて、例えば
- 会社員の副業FX
- パート、アルバイトの副業FX
- 個人事業主の副業FX
- 専業主婦の副業FX
はすべて雑所得になり、また海外FX・国内FXのどちらの所得も雑所得になります。
ですので、FXの所得区分は「雑所得」と理解しておけば大丈夫です。
海外FXと国内FX違い その1.課税方式
- 海外FXは総合課税、国内FXは分離課税
課税方式は違いとは、所得の区分を合計して税額の計算をするのか、分けて税額の計算をするのかの違いになります。
海外FXは総合課税なので、所得区分1~8(事業所得~雑所得)も含めて、税額が計算される
国内FXは分離課税なので、所得区分1~8とは分けて、国内FXで得た所得だけで税額が計算される
ですので、
- 海外FX → 総合課税・雑所得(他の所得と合算で税額計算)
- 国内FX → 分離課税・雑所得(FXの所得は分けて税額計算)
となることを理解しておけば大丈夫です。
国内株取引も同じく分離課税となっていて、一応は国内の取引所を利用する優遇措置的な課税方式になっています。
分離課税のメリットは
- どんなに稼いでも税率が一律
- 損失の繰越が可能
になりますが、所得額によっては総合課税の税率の方が有利な場合もありますので、一番のメリットとしては「損失の繰越」が可能な点が挙げられます。
総合課税では損失の繰越ができません。
海外FXと国内FX違い その2.税率
- 海外FXは累進課税、国内FXは一律課税
- 海外FXは所得は累進税率で5%~45%
- 国内FXの所得は一律税率で20.135%
という違いになります。
海外FXでは稼げば稼ぐほど税率が増えてき、最大で45%の税率になります。
例え話ですが、プロ野球選手やゴルフ選手などが税金で半分持っていかれるとよく聞くのは、累進税率の45%に該当しているからになります。
また、所得の累進課税は「課税方式の違い」で解説した通り、FXだけの所得だけではなく給与所得なども含めた、その他の所得区分と合算で税額算出となる点には注意が必要です。
海外FXと国内FX違い その3.損失の繰越の可否
- 海外FXは損失の繰越不可、国内FXは損失の繰越可能
海外FXの取引で損失があっても、損失の繰越は出来ません。
国内FXの取引で損失があった場合には、翌年から3年の間は利益から損失を相殺することが可能になります。
注意しなければならないのは、損失は確定申告しなければ繰越が出来ない点です。
上記の図の通り
- 取引初年度に100万円の損失を確定申告した
- 翌年に10万円の利益があった場合、初年の100万の損失と相殺で無課税
- 2年目に25万円の利益があった場合、損失残額90万円と相殺で無課税
- 3年目に10万円の利益があった場合、損失残額65万円と相殺で無課税
- 4年目は損失残額55万円が消失
といった様に毎年確定申告は必要になりますが、3年間は損失の繰越+利益との相殺が可能になります。
海外FXの累進税率とは
海外FXの所得に適用される、累進税率は以下の通りになります。
所得額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
繰り返しになりますが、総合課税は総合の名称の通り下記の所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 給与所得
- 利子所得
- 配当所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
をすべて合算しての税率となります。
例えば会社員の給与所得が400万円、海外FXの雑所得が50万円あったとすると
- 所得額合計450万円となり、累進税率は20%で控除額が427,500円
になります。
その他、不動産所得など複数の所得の該当がある場合には留意しましょう。
国内FXの一律税率とは
国内FXの一律税率は20.135%で
- 国内のFX取引所を利用の場合のみ
- 国内FXの所得のみの分離課税
になっています。
ちなみに0.135%は東日本大震災からの復興のためとして、令和19年12月31日までの追加税率となっています。
海外FXと国内FXの税額を計算方法
海外FXと国内FXの所得に対する税額を、実際に計算してみましょう。
注意点は
- 海外FXの所得は総合課税で、給与所得など他の所得も含めて税額を算出
- 国内FXの所得は分離課税なので、FXだけの所得で税額を算出
と、課税対象となる所得区分に違いがありますで、海外FXと国内FXの税額の単純比較にはならない点には留意してください。
目安の参考額としては見ることができますので、所得額に応じた税額を算出してみましょう。
税額の算出方法は下記のとおりです。
【海外FX】累進税率の税金計算方法
累進税率の所得税計算は、「所得による累進税率 ー 控除額」で算出します。
所得税に加え、「住民税が10%」+「復興特別所得税が2.1%」が別途掛かってきます。
ですので、総合課税による税額の算出は下記の3つ
- 所得税 →【所得額 ✕ 累進税率 ー 控除額】
- 住民税 →【所得額 ✕ 住民税10%】
- 復興特別所得税 →【所得税 ✕ 復興所得税2.1%】
で、算出したそれぞれの合計が税額になります。
【国内FX】分離課税による税金の計算方法
分離課税による税計算は、「所得額 ✕ 一律税率20.315%」で算出します。
- 所得税 →【所得額 ✕ 一律税率20.315%】
- 内訳:(所得税15%・特別復興所得税0.315%・住民税5%)
所得額による海外FXと国内FX税額
※国内FXは分離課税のため、FX取引だけの所得として参照
例)国内FXで50万円の所得を得た → 所得額50万円の欄を参照
※海外FXは総合課税のため、他の所得と合算した所得額として参照
例)給与所得400万円+海外FXで得た所得50万円 → 所得額450万円の欄を参照
税額はおおよその参考値として参考ください。
総合課税 | 分離課税 | |
所得額 | 海外FX税額 |
国内FX税額 |
20万円 | 30,210円 | 40,630円 |
50万円 | 75,525円 | 101,575円 |
100万 | 151,050円 | 203,150円 |
150万 | 226,575円 | 304,725円 |
200万 | 304,653円 | 406,300円 |
250万 | 405,703円 | 507,875円 |
300万 | 506,753円 | 609,450円 |
350万 | 628,223円 | 711,025円 |
400万 | 780,323円 | 812,600円 |
450万 | 932,423円 | 914,175円 |
500万 | 1,084,523円 | 1,015,750円 |
550万 | 1,236,623円 | 1,117,325円 |
600万 | 1,388,723円 | 1,218,900円 |
650万 | 1,540,823円 | 1,320,475円 |
700万 | 1,694,454円 | 1,422,050円 |
750万 | 1,861,869円 | 1,523,625円 |
800万 | 2,029,284円 | 1,625,200円 |
850万 | 2,196,699円 | 1,726,775円 |
繰り返しになります、総合課税と分離課税では課税される所得区分に違いがあります。
国内FXの分離課税では、会社員やパート、アルバイトなど給与所得がある場合には、給与所得から天引きされる所得税や住民税もあります。
算出の税額は国内FXの所得のみの税額となり、税額の単純比較はできませんので留意ください。
海外FXの累進税率は損してしまうのか?
海外FXの累進課税、国内FXの一律税率の違いで、一番気になるのは「海外FXの累進課税」で損はないのか?という点ではないでしょうか。
所得額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
一律税率の20.135%に対して、累進税率では上記の表の通り695万円以下までが5%~20%になっています。
税率の比較だけで言うと、海外FXの場合には給与所得+FXの所得が695万円未満か、以上かが分岐点になります。
累進税率が20%を超えると、国内FXの一律税率以上になってしまうので、不利になってしまう可能性が高くなります。
会社員やパート、アルバイトの給与所得+副業FXでどれだけ稼げるかがポイントになります。
複雑になってしまうので控除等は考えすに単純計算してみると
給与所得+副業FXの所得が195万円以下になるのであれば、税率は5%になります。
- パート、アルバイトの給与所得が100万円+海外FXの所得が95万円
給与所得+副業FXの所得が330万円以下になるのであれば、税率は10%です。
- 会社員の給与所得が300万+海外FXの所得が30万
など給与所得と海外FXの所得を合計して、累進税率が20%以下であれば
- 海外FXの税率の方が有利な場合もある、
- 一律税率と比較しても損にはならない
ということが言えると思います。
FX初心者の方であれば、損失を出さずに数十万、百万円単位の利益が出せれば「大成功」と言える世界ですから、ご自身の場合にあわせて海外FX、国内FXのどちらの税率が得なのか?を考慮してみてください。