歴史的な円安の流れもあってFX人気が再燃していますが、年末になると気になり始めるのが翌年の税金ではないでしょうか。
まだFXを始めていないという方も、FXは短期間で爆発的な収益を得られる可能性がありますので、節税対策は気になるところではないでしょうか。
特に海外FXの収益は雑所得になり、収益が多ければ多いほど税金も高くなっていきます。
副業でFX取引をしている方も、収益の金額によっては確定申告が必要になります。
「苦労して出した利益を税金で持っていかれるのは嫌だ」「対策はないのか」と多くの人が思っているはずです。
そこで節税対策の一つとして利用できるのが「経費を使う」という方法です。
こちらのページでは
- FXの経費のポイント
- FXの経費にできるものの一覧
- FXの経費の詳細
について、詳しく解説しています。
また、国内FXと海外FXの課税方法の違いについても触れていますので、是非参考にしてみてください。
FXの経費のポイントと対象期間
FXの経費のポイント
FXの経費のポイントは、
FXで利益を得るために購入したもの、使ったもの、消費したもの
が対象になります。
確定申告で計上する経費は、自己申告となっていますので、自分で「FXで利益を得るために」購入、使用、消費したものなのかを判断して
利益 ー 経費 = 所得
と計算して、利益から経費を差し引いた所得が課税対象となります。
利益から差し引きできる経費が多ければ必然的に課税対象となる所得が減りますので、結果的に節税になるということになります。
ただ自己申告だからと、あらゆるものの領収書をもらって経費として計上するというのはNGで、仮に税務調査が入った場合に「FXで利益を得るためのもの」であったかを証明できなければ、経費として認められない場合もありますので、その点は注意したいところです。
会社員の副業FXでも経費は認められるのか?
- 会社員の副業FXでも、経費は認められます。
FXで課税対象となるのは、FXで得た所得になります。
FXで得た所得とは、「FXの利益」ー「利益を出すために使った経費」になりますので、会社員でも、主婦でも、フリーターでも、自営業者でも、FXで利益を出すために購入、使用、消費したものは経費として計上することが可能です。
FXの経費の対象期間
- FXの経費の対象期間は1月1日~12月31日までの1年間
翌年2月~3月の確定申告時には、前年の1月1日~12月31日までに購入したものが経費の対象となります。
12月から年末にかけて経費で物品を購入する人が多いのは、節税対策でもあります。
当然ですが利益がない場合には、経費を多く使っても節税ではなく赤字になってしまいます。
海外FXは国内FXとは異なり、損失(赤字)の繰越はできませんので注意しましょう。
国内FXと海外FXの税区分、税率の違い
税区分 | 税率 | 損失の繰越 | |
国内FX | 分離課税 | 一律20.315% | 3年間可能 |
海外FX | 総合課税 | 累進税率 | 繰越不可 |
- 国内FX会社で得た利益 → 分離課税(一律20.315%)+損失の繰越3年可能
- 海外FX会社で得た利益 → 総合課税(利益額に応じて5~45%)+損失の繰越不可
国内FX会社での取引は株取引と同じ扱いで分離課税となっていて、分離課税の税率(所得に対して一律20.315%)、確定申告すれば損失の繰越が翌年から3年間可能となっています。
海外FX会社での収益は総合課税(雑所得)となり、累進税率+損失の繰越はできないという税区分に別けられているという違いがあります。
FXの経費として計上できるもの
FXの経費は【専業・副業】【海外FX・国内FX】でも解釈に違いはありません。
FXで利益を得るために購入したもの、使ったもの、消費したもの
になります。
経費として認めるかの最終判断は税務署が行います。下記のリストはあくまでも参考例になりますので詳しくは税理士、管轄の税務署で確認してください。
全額、もしくは一部経費にできるもの
- FX関連図書代
- 事務用品代
- 有料ツール代(ソフト・インディケータ)
- シグナル配信など情報サービス代
- レンタルサーバー代
- FX関連の勉強会・セミナー代
- FX関連の勉強会参加費・セミナーの交通費・宿泊費
- パソコン周辺機器購入費(モニター・プリンター・消耗品)
- 資金の入出金手数料・その他手数料
按分が必要なもの
- 通信費(インターネット代・プロバイダ料金)
- 携帯電話の購入費用
- 携帯電話の利用料、通信料
- 電気代
- 家賃
金額により減価償却の必要あり
- パソコンの購入費用
経費の詳細
全額もしくは一部経費にできるもの
FX関連図書代
FXで利益を得るために購入した書籍、雑誌、または情報商材などは図書費として経費にすることが可能です。
また電子書籍も図書扱いとなりますので、購入履歴は確認できるようにしておきましょう。
FXに関連した書籍であれば、全額経費として計上しても問題ないでしょう。
事務用品
FX取引の履歴や記録を残しておくために購入した筆記用具、文具消耗品も経費にすることが可能です。
日常の生活用品とは別に購入し、レシート(領収書)は分けておいたほうが整理しやすいです。
筆記用具や文具も、全額経費として計上しても問題ないでしょう。
有料ツール(ソフト・インディケータ)
FXの有料ソフト、インディケータなどの購入費用も経費になります。
FX用途以外に使い道がありませんので、全額経費として計上しても問題ないでしょう。
シグナル配信など情報サービス代
買い切り、サブスクリプションなど形態は様々ですが、FXの売買ポイントを知らせるシグナル配信や情報サービス代も経費にすることが可能です。
こちらもFX用途以外に使い道がありませんので、全額経費として計上しても問題ないでしょう。
レンタルサーバー代
自動売買などで使用するレンタルサーバー代も、経費計上が可能です。
FX以外の用途がなければ、全額経費として計上しても問題ないでしょう。
FX関連のセミナーや勉強会の参加費用、交通費
FXに関係したセミナーや勉強会の参加費用、参加するための交通費や宿泊費も経費にすることが可能です。
交通費はsuicaやpasumoの乗車履歴や、タクシーであれば領収書を保管。
宿泊費はホテルの領収書を保管しておきましょう。
セミナーや勉強会の領収書とセットにしておくと、用途が解りやすくなります。
パソコンの周辺機器
パソコンの周辺機器とは
- モニター
- モニターアーム
- パソコンデスク
- チェア
- プリンター
- プリンターのインク
- パソコンのメモリー
- 外付けのハードディスク
- マウス
などがあり、FXはパソコンでの取引がメインになりますので、経費として計上しやすいです。
FXでは特にモニターが複数あったほうが、チャートの監視や分析など効率があがりますので、モニターを増やしていくのはとてもおすすめです。
私用と兼用で使うものがある場合には全額を経費として認められないこともありますので、使用割合を自身で決めて購入費用から按分するという考え方もあります。
資金の入金、出金手数料・その他手数料
海外FX会社では様々な入金・出金方法を選べますが、方法によっては手数料が掛かってきます。
入金、出金手数料は全額経費とすることが可能です。
按分が必要なもの
経費の按分とは
FX取引専用の家がある、部屋を借りているなどの場合を除いては、電気代や通信費は私用で使う部分がでてきます。
その場合は、FXと私用で使う割合を算出して、経費として計上します。
経費は自己申告となりますので、按分の比率も人それぞれになります。
自宅にFX専用の部屋があって、家賃の一部を経費とするのであれば面積で按分したり、通信費の一部を経費とするのであれば使用時間で按分したりと、按分方法も様々な考え方があります。
通信費(インターネット代・プロバイダ料金)
FXはチャートを見たり、取引するのにインターネットが必須となっていますので、インターネットの回線費用、プロバイダー料金の一部を経費にすることが可能です。
通信費も私用で使う時間があるため、私用とFX取引で使う時間とで按分して計上します。
電気代
- パソコンの電気代
- パソコンの周辺機器の電気代
- FX取引している間の冷暖房に使用するエアコンの電気代
など、FX取引で利益を出すために使用した電気代は経費にすることができます。
水道光熱費で水道代、ガス代はFX取引に関係がありませんので、経費としては認められないことが多いです。
家賃
副業でFX取引している場合でも、自宅でFX取引をしている場合には家賃を按分して経費とすることが可能です。
FX取引専用に部屋を借りている場合には、その家賃は全額経費にすることも可能です。
金額により減価償却の必要があるもの
パソコン
パソコンの購入費は減価償却のルールがあって、下記の通りになります。
パソコンの購入費用 | 経費計上のルール |
10万円未満 | 全額その年の経費にできる |
10万円以上~20万円未満 | 3年に分けて経費を分割計上する |
20万円以上 | 4年に分けて経費を分割計上する |
※確定申告の申告方法(白色・青色)によっても、パソコンの減価償却ルールは変わってきます。上記は会社員の副業(白色申告)の場合の減価償却ルールです。
上記の通り、パソコンの購入金額によって一括、3年、4年と経費として計上できる金額も変わってきます。
今のパソコンの性能であれば、10万円以下のパソコンでもFX取引するには十分です。
ですので、減価償却を回避したい場合には、10万円以下のパソコンを購入して、その年の経費として一括計上がおすすめです。
もう一つ注意しておきたい点は、私用と兼用でパソコンを使う場合には、こちらも使用比率で按分しないと経費として認められない場合がある点です。
FXは取引以外にチャートの分析や、マーケット情報など情報の収集も利益を得るための時間になりますので、パソコンの使用時間は長くても不自然にはならないでしょう。